相続問題を楽しむ

実証哲学では「国際法は、ある特定の条件下で国々が実際にどのような行動に出たか、どのような行動を許したか、といったような、国々の経験的行動から派生すべきものであり、重要な点は、国々が、行動や言語を介して何に『同意』したのか、という点である」とされています。 この考えかたを反映しているのが、 1945年の条約締結による国際司法裁判所の設立です。
国際司法裁判所の規則には、国際法の三つの源を、 「慣習法」 「条約」そして「文明国が認めた法の一般原則」と定めています。 「慣習法」は、いわば国家の行動の「結晶」です。
例えば、戦争に初めて航空機が使用された第一次世界大戦中、そしてその後、大戦を通した経験から、各国はそれぞれの自国上空に主権を持つ、とみなされるようになりました。 問題は、それが「いつ始まったか」が限定し難いという点です。
慣習法は、 21世紀の今日もなお、なにがしかの影響力を持ちますが、ここではその複雑な「哲学」に踏み込むのはやめておきたいと思います。 「条約」とは一般的に、二カ国かそれ以上の国の間で交わされた、書面による同意を指します(国連のような組織が条約にサインをする場合もあります)。
条約は、ビジネス契約のような強制力は持ちませんが、特定の国家間に特別な関係を構築し、対象国家の特定行動を拘束します。 2004年末現在、国連に登録された条約は5万件を超えるとされ、そのうち米国が関わるものが約1万件、日本もこれに匹敵する件数にサインをしているとされます(これには「協定」もしくはそれに類する名前で呼ばれるものも含まれます。
名称は心理的に重要なものであり、法的なものではありません)。 これについては、後ほど詳しくお話しします。

「文明国が認めた法の一般原則」はやや暖昧ですので、国際法を適用する法廷闘争ではあまり使用されることはありません。 ひとつだけ重要とされるのは、「国際間の合意は尊重されるべきである」を意味する「pacta sunt servanda」です。
 慣習法のわかりにくさの他にも、実証哲学がもたらした哲学的問題はいくつかあります。 例えば、東ティモールのような新国家がつくられた場合、どうすればいいのか?その「誕生」のとき、国家が同意していなければならないことは何なのか?それとも国際法はこの新国家には全く適用されないのか?もしくは、この新国家は既存の国際法を同意の事実なしに全て受け入れるべきなのか? この慣習法が抱える問題により、国際法のもうひとつのアプローチ法「現実主義」の評価が次第に増します。
現実主義では、国際法は「ルール」ではなく単なる「政治」の結果とし、各国がこれに従うのは背景に網の目のように張り巡らされた政治が存在するからだ、とされます。 国際法を無視すると、同盟国から白い目で見られ、将来必要な協力を得ることができなくなる可能性があります。
だから、非常に重要な場合を除いて、国際法には盲目的に従うのだ、と。 現実主義は、ジョージ・W・ブッシュ政権の前まで、米国の国際法に対する姿勢でもありました。
「自然権」も忘れてはなりません。 近年、ホロコースト以降に再び注目を浴びているこの理論ですが、以前と違うのは、人権に対する概念を通して「人民」の自然権が強調されている点です。
この自然権が人権に偏ることによって、地球温暖化その他の議論に影響が出るのではないかと懸念されています。  これら、実証主義、現実主義、自然権の三つの哲学は、ビジネス的にも関連があります。
自然権が一番関連が薄いですが、例えばこの概念と密接な関係にある京都議定書などはビジネスにも影響を及ぼします。 現実主義では、交渉の狙上に上る条約が多い理由はビジネス上の利得追求が政府に対する圧力となるからで、これにより各国の条約交渉上の立ち位置が決定する、とされます。
例えば、米国による知的所有権(IPR)関連の国際交渉に多大な影響を与えているのは、映画会社と製薬会社です。  ところで、国際法の裁判所とは、どんな裁判所なのでしょう?国内法に準拠する一般的な裁判所とは異なり、これには、国連の一部である国際司法裁判所、国際刑事裁判所、その他戦争犯罪などを調査する委員会などが含まれます。

また、世界貿易機関(WTO)には上級・下級二つの小委員会が含まれ、上級委員会では特にWTOが管掌する紛争が取り扱われます。  では、条約について、見て行きましょう。
条約締結はニュースの「花」のような存在ですが、それがあなたやあなたの会社に実効力を及ぼすには、それが国内法の一部に落とし込まれなければなりません。 国によって実際のステップは異なりますが、一般的に締結されただけでは不完全なのです。
例えば、立法機関が条約を批准しなければならないかもしれませんし、その内容に従うには新たな国内法の立法が必要な場合もあるでしょう。 アメリカや中国が、 WTO加盟前に自国の著作権法を改正しなければならなかったのは、このためです。
また、発効するにはある一定の数の加盟国がサインしなければならない、とか、その他の特定の条件が付いた条約もあります。 京都議定書は1998年に締結されましたが、最低でも55カ国がサインをし、かつそれら55カ国が1990年時点の二酸化炭素排出量の最低55%削減を承認しなければ発効力を持ちません。
この条件は、 2005年のロシアによる批准まで満たされませんでした。  この、批准による政治は、歴史を変えることもあります。
1940年代後半、米国を含む複数の国々が「国際貿易機関」 (ITO)設立に向けた条約交渉を開始しました。 しかし、国際機問を作るのにはたい-んな費用がかかります。
費用拠出のためには、共和党が多勢を握る下院の了承が必要でしたが、下院はいち早くこれを否決。 一方で米国は、関税を規制するGATTに一時的に合意を表明します。

GATTの合意には費用がかかりませんでしたし、何より下院の了承が不要だったからです。 結果として、 ITO誕生までの2-3年の「その場しのぎ」策のはずだったGATTは、その後50年以上生きながらえることになります。
ちなみに、GATTは1995年に締結されたWTO条約一部として、今でも生きています。  では、 WTOとは何なのでしょう?これについて詳しく説明するだけで、本が一冊書けてしまいますので、詳細は割愛しますが、要するに、製品・サービス・投資などの「フリー・トレード(自由貿易)」を促進する条約の集合体、とでも言いましょうか。
他の条約と変わっている点は、組織が形成されていることと、先述の通り上下二つの委員会を持つことです。 もうひとつの点は、関税改定について詳細にわたって規制を設けていることと、知的所有権を重視していることでしょう。
つまり、他の条約と違い、 WTO条約は「牙を持つ」法律だということです。 法律ですから、違反国が問題を解決しない場合は報復があります。
例えば違反国Aの輸出が困難になるように、加盟国がAに対する関税を引き上げる、といったような策がとられるわけです。 もちろん、 A国の違反が意図的なものでない場合もあるでしょう。
例えば、 A国が最貧国で条約に準拠する体力を持たない、などといった場合がそれに当たります。

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